12. 鉄条網

 高さ2.4メートルほどの鉄条網です。基本的に支柱は「Y」字型になっていて、そこに合計24本の有刺鉄線が張られているのが一般的な形でした。高さもあるし、上部の有刺鉄線はY字型に張り出しているので、鉄条網としてだけ考えても十分な機能を持っており、これを越えることは難しかったはずです。

 しかし、この鉄条網がすごかったのは、センサーの機能も搭載されていたことです。写真中の右に楕円で囲まれた別の写真を見れば分かる通り、有刺鉄線は互いにケーブルで結線されていました。元国境警備兵らの証言によると、有刺鉄線には電気(24ボルト)が流されていました。亡命者が鉄条網を越えようとして異なる2本の有刺鉄線に触れたり、あるいは有刺鉄線を切断すると電気の流れが変化します。この変化を感知することでアラームが発せられたのです。

 この動きは司令部監視塔で一元的に管理されており、アラームが発報されると同時に監視塔内にある機器に赤いランプが点灯し、どの地域でアラームが出たのか分かるようになっていました。この警報システムは"GSG 55"と公式に呼ばれるものとみられます。元警備兵の話によると、このシステムは信頼性が高くなく、雨や嵐の際には水が鉄線にかかることで誤まったアラームが出ることもありました。そして、そのたびに亡命者が出たのかどうかを捜索しなければならず大変だったといいます。

 そのため東独も新型のセンサー付き鉄条網の開発を進め、80年代後半には"GSG 80 A"という型の試作品を作る段階に達しました。90年代初頭に配備される予定だったとのことですが、その前に壁そのものが崩壊してしまい、新型システムの必要性がなくなってしまいました。