◆軍用車 持ってます!◆ |
|
壁の裏に広がっていた無人地帯。この警備用道路を走っていたジープ型の軍用車。これは東独の国民車であるトラバントと同じ車体を利用した車でした。これを西ドイツ・マールブルク在住のディルク・ヴィーゼラーさんは所有しています。ヴィーゼラーさんは、これまで実物のベルリンの壁を見た経験はないのですが、1995年6月のある日、自転車で近所を走っていた際に「売ります」の張り紙とともに軍用トラバントが道端に置かれているのを見て彼の心は躍り出しました。 売主の家を訪ね、試乗させてもらったら、ギアは甘いしブレーキの感覚も違うし…。しかし気持ちは盛り上がる一方で、「その時の感情は言葉では表現できないほどだった」といいます。どうしても欲しくなりましたが当時、19歳の学生だったヴィーゼラーさんにはお金がありませんでした。そこで父親を説き伏せ、3500マルク(約20万円)で念願の軍用トラバントを購入することができました。 |

これが自慢の国境警備隊仕様のトラバント ©Dirk Wieseler
車の状態は比較的良かったので、とりあえずは錆びを落とす程度でしたが、タイヤとかシート、排気管などの部品がオリジナルの物ではなかったので、その後、何年もかけ希少な部品を丹念に探しながら実物に近づけていったのです。
左の写真がベルリンの壁で撮影した本物の軍用トラバント。色合いが違うのは写真の都合によるもので、見た目は殆ど同じです。ヴィーゼラーさんの車はちゃんとナンバーも取っているので公道もOK。「せっかく修復したら飾っておくだけじゃ、もったいないだろ? これでドライブすると目立ってカッコいいんだ。最高さ」とご機嫌です。 |
|
98年には、かつてトラバントの工場があった旧東独のツヴィッカウで開かれたトラバント愛好者の集会に愛車で駆け付けました。何とツヴィッカウまでは500キロ。2日間もガタガタ揺られながらのドライブだったといいますが、「思ったほどはひどくなかったよ」と本人は全然気にしていません。
ツヴィッカウに向かう途中、知り合いを訪ねるため立ち寄ったチューリンゲン州のある町でラッキーなハプニングがありました。その町で偶然、かつて東ドイツ国境警備隊の将校だったという人に出会い、「警備隊の制服に興味はあるかい」と訪ねられました。「はい」と彼が答えると、その元将校氏は2揃いの制服や、国境に設置されていた看板などのグッズを譲ってくれたのです。 |